ゲーム依存の外来治療–ネットとゲームは魅力的–

ICD-11から、Game Disorderが収載されます

    
以前、精神科の病気を考えるときに
アメリカ精神医学会の定めたDSMと
ちかごろ話題のWHOが定めたICDの
2つがあることをお話ししました
    
    
どちらも定期的に見直しが行われており
ICDは次は11になる予定です
(日本語訳にする関係で実用化がまだなだけです)

    
    
その中で、新しい病気の概念として
Game Disorderが載っています

    
    
直訳するとゲーム障害なのですが
聞きなじみがあるのは
「ゲーム依存」「ネット依存」
という言葉ではないかと思います

    
    
今回は、そんなGame Disorderについて
(ここではゲーム障害と書きます)
考えていきたいと思います
    

ゲーム障害の治療はホットなテーマ

    
ゲーム障害については
ICD-11に初めて病気だと認められたことで
非常にホットな話題となっています
    
    
学会での発表も多く
教育講演にもなっており
精神科医/児童精神科医にとって
非常に興味深い話題です

    

思春期外来の主訴によくみられます

    
当院で行っている児童思春期外来でも
主訴として多くみられます
    

・子どもが夜遅くまでゲームをやっていて朝が起きられない
・ゲームのために朝が起きられず学校に行ってない
・学校から帰ってくると暇さえあればゲームをやっている

    
こういったことが
主訴として聞かれることの一部です
    
    

ニワトリが先か、タマゴが先か

    
でも少し考えてみて欲しいのです。
    

その子どもは、ゲームにハマったから学校に行けないのでしょうか?
学校に行けなくなって暇だからゲームをやっているのでしょうか?

    
これはニワトリとタマゴの問題と同じで
どちらが先か、厳密には言えない場合もあります
    
    

発達障害の人はゲーム障害になりやすい?

    

発達障害の人はゲーム障害になりやすい??

    
こんな話もまことしやかに言われています
発達障害との関連性も
話題に上ってきやすいところです
    
    
確かに、広汎性発達障害の人が
ゲームが「こだわり」になっていて
ゲームばかりしているケースもあります

    
    
一方で
ゲームはしてみるけどすぐに飽きる
ゲームでない自分の興味にどっぷり
という話も聞きます

    
    
実際のところは、どうなのでしょうか?
    
    

ゲーム障害の治療−みんな試行錯誤−

    

実は、ゲーム障害にはまだ確立した治療法はありません
みんなが試行錯誤しながら
目の前の患者さんと戦っています

    
     

わたしが外来でアドバイスするときのポリシー

    
僭越ながら
わたしが外来で治療する時に
念頭に置いていること
考えていることを書いてみます
    
    

・制限を広げるのはいつでもできる
・一度制限を広げてしまった後に狭めるのは大変
・いずれ自由に使える時期(大人)は来てしまう
・その前に上手な付き合い方を覚えよう

    
こんなことを考えながらやっています
    
    
しかし、ゲームをする時間は減らせたものの
学校には行けないままという子も多く
    
    
検査の結果わかった発達障害を
受け入れられない親のもと
     
家庭内で孤立して行っている子もいます
    
    
依存症治療で有名な松本俊彦先生は
    

依存症は孤立の病

    
といっていたそうで
まさしくこの状態に
陥ってしまっている子どももいます
    
正直にいうと
治療がうまくいかず歯痒い思いをしている症例が
たくさんあります

(転院されてしまったケースもあります)
    
         

実際自分の子どもに対してはどうか

    
いっぽうで
13歳になる自分の子どもについては
    

スマートフォン・タブレットの時間制限
(夜の22時までにやめる)

    
しか、していません。
    
学校の補助教材がネットにあったりするので
中学生ともなると
睡眠時間を妨げない以上の
制限は難しいです

    
ただ、不登校にはならず勉強もするので
まあいいかなと思っています

    
     

入院治療をやっている病院は日本でひとつ

    
インターネット依存病棟を持ち
インターネットやゲームで
生活に支障をきたしている人に
入院治療ができる病院は
日本にはひとつしかありません
    
    
依存症治療で有名な
久里浜医療センターです
(リンク先に
 インターネット依存を取り扱う病院のリストがありますが
 数えるほどしかありません(しかも外来))
    
    

岐阜県立希望が丘子ども医療福祉センターでの講義

    
わたしがこの記事を書こうと思ったのは
この講義を動画で見たからです
     

    
    
この動画の吉川先生の行っていることは
わたしに共通することもありますし
より繊細に治療しているように見えます
     

ゲームで生きていく方法もある

    
一方で『プロゲーマー』として
生きていく道も
2020年現在には存在しています
    
    
生半可な気持ちでなれるわけではありませんが
「好き」で「つきつめ」たら
ゲームを仕事にすることもできる時代でもあります
    
    

     
本を読めばわかるのですが
彼らは非常に努力しているし
「プロゲーマー」だって
「楽して稼げる方法」ではありません

    
    

親としてできること

    
吉川先生の講演から
親としてできることをまとめてみます

敵を知るにはまず自分から

    

ゲーム機は親のものにしよう
そしてそのゲームで親も遊ぼう

    
ルールを設けたいがために帰属を考えても
使わないのであれば意味がないですね
    
わたしなんかは
ゲーム好きなんでいいんですが
(ひょっとしたら子どもより好きかもしれない(汗)
    

子どもと一緒にゲームを楽しむのもアリ!

    

同じゲームで子どもと盛り上がろう!
最近は複数で盛り上がれるゲームもありますしね

    
    

ゲームをいつから始めたらいいか

    

親が時間と労力を裂けるなら早ければ早いほうがいい
(ただし科学的根拠はない)

    
と、動画の中で吉川先生は言っていますが
わたしもそれは同感でないかなと思います
    
    
早くゲームを始めることも多くなり
ゲームの話についていけないと
友達と遊びにくいというのもあります
    
    

極端に制限しすぎて犯罪に至った例

    
これは有名な話かもしれませんが
秋葉原通り魔事件の犯人が
テレビやアニメを極端に制限されていたことは
よく知られていることかと思います(出典
    
     
ゲームやインターネットから逃れて暮らすことはできません
この現代においてそこから引き離すのは困難で
無理にひきはがすとそれが愛情ゆえだったとしても
間違って伝わる可能性が高いです

    
    

まとめ

    

まとめ

・もう少しすると「ゲーム障害」が正式に病名になる
   
・ゲーム障害の治療は確立されたものはない
   
・入院治療をしている病院はひとつだけ
    
・外来治療を行っている病院はあるがまだまだ少ない
    
・在野の精神科医たちはみんな試行錯誤している
    
・岐阜県立希望が丘子ども医療福祉センターの動画をご紹介
    
・ただ、厳しいが「プロゲーマー」という道もある

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