HSP(ひといちばい敏感な人)って、何??

HSP(ひといちばい敏感(繊細)な人)という概念をご存知でしょうか?

HSPはその定義をしたエレイン・アローン博士によるとこういった定義です。
以下は非常に簡素にまとめていますが、あとで少し深く掘り下げます。

  • 考え方が複雑で、深く考えてから行動する
  • 刺激に敏感で疲れやすい
  • 人の気持ちに振り回されやすく、共感しやすい
  • あらゆる感覚がするどい

ただひとつ忘れてはならない重要なことがあります。
エレイン・アローン博士は医師ではなく、心理学の研究者です。

きっかけは、私が発信したTwitterのひとこと。

HSPだと自称する人たちに悪気はないことはわかっている。でも、「発達障害とは対極にいる善良な人」というイメージで発信されていることも多く、逆に差別を助長している。心理学系の概念にここまで困らされたことはないのだけど、HSPの概念にはだいぶ迷惑している。

このひとこと、インプレッションが5000近くついています。(2020.3.10現在)

私は、HSPについてAmazonで偶然見つけ、購入したこれらの本で知り、学びました。

「敏感すぎる自分」を好きになれる本(著:長沼睦雄)

鈍感な世界に生きる敏感な人たち

この、HSPという概念は、心理学者が提唱して使っている通り、

医学的な概念ではありません

しかし、ここをごっちゃにしてしまっている人をよく見ます。
それは例えば、

私はHSPでひといちばい繊細なだけで、病気ではない
世の中は生きづらいけど、HSPなだけ、周りに理解してほしい
HSPは普通の人より優れていて、素晴らしい人間だ

といったような勘違い、起こしていませんか?

繰り返しますが、

HSPは医学的な概念ではないのです

ですから、医学的な病気が、「自分はHSPだと信じている人」に起こらないなんてことはありません。
HSPというのは「性質」であって、「人よりも優れていることの証明」ではありません。

ここのところ、診察をしていて感じるのは、
「HSPだから、病気じゃないから、これは治療して欲しくない」
という声が非常に多いということです。

HSPでも、精神科の病気になることはある

HSPは性質です。
「内向的」「外交的」「内気」「人見知りが激しい」
といった言葉と同列に扱いましょう。

今はこの言葉が「病気でないことの証」のように一人歩きしています。

HSPの人でも、精神疾患になることはあり得ます
HSPだからといって、精神科病院から離れて行かないでください
あなたがHSPであることを否定するつもりはありません

誰でも癌の危険から逃れられないように。
どんな人でも生きていれば交通事故に遭う可能性があるように。

精神疾患になる可能性も、誰にでもあります。
その時は治療をするしかないのです。

HSPと発達障害のオーバーラップについて

日常診療を行う中で、HSPだと自称する人たちの中に、たくさんの発達障害が隠れていることに気づきました。

考え方が複雑で、深く考えてから行動する

これは、先ほどお示しした通りHSPの特徴のひとつとされています。
 
しかし、私は以下の考察をしたいと思います

  • 興味のあることを深く掘り下げて追求するのは、発達障害のこだわりではないか
  • 1を聞いて10を知るのは、発達障害の「深読みグセ」とどこが違うのか
  • ものごとを始めるのに時間がかかるのは、「自分が腑に落ちないと始められない」からではないか

発達障害と、どう違うのでしょうか??
HSPの概念は、発達障害を心理学側から見た視点ではないか、と思い至り始めます。

刺激に敏感で疲れやすい

これも、発達障害の側から見てみようと思います。

  • 刺激に敏感だというのは、感覚過敏のことではないか
  • 聴覚で音の選択ができないような発達障害の場合は、人混みは非常に息苦しいです。
  • 人が言う些細なことに傷つくのって、程度は人それぞれかもしれないけど、みんなそうじゃない?

ますます、発達障害との区別がつきません。

人の気持ちに振り回されやすく、共感しやすい

発達障害の人は共感しない、人の気持ちがわからない、そう言われます。
でも、そうではありません。
「その人なりの思考回路」で共感し、人の気持ちも読んでます。

  • 人の感情に振り回されがちな人は、みんなHSPなのでしょうか
  • 幼児や動物のことが感覚的にわかる人は、特別なことでしょうか
  • 人の仕草をよく見ているのは、基本的に何かに怯えている人です

被虐待児なども、人の仕草や声に敏感です。
自分に向かっている声に対して全て「ごめんなさい」と返してしまう子もいます。
これに当てはまるから病気でない、とは言えません。

あらゆる感覚がするどい

ここで再度感覚についての念押しみたいな条件が書いてあるのですが、

  • 第六感というのは、証明されているものではありません
  • 重ねて書きますが、感覚過敏である程度説明がつきます

第六感の話まで出してくるとなると、これは占いのようなものではないでしょうか。
「自分の直感って当たるんだよね」という人がいますが、
そういう人はみんなHSPなのでしょうか。

結論:HSPと発達障害は見るベクトルが違う

これまで、HSPについての概略と、その特徴とされている項目について、発達障害の観点から見てきました。

その結果、見えてきたことは以下の通りです。

まとめ

HSPは心理学の概念、発達障害は精神医学の概念
一人の人を違う方向から見ているので、重なることもあり得る
HSPは精神疾患でないという免罪符にはならない

 
お分かりいただけましたでしょうか?

また今後も有益な情報を書いていきたいと思います!
<本日ご紹介した本はこちら>


「敏感すぎる自分」を好きになれる本(著:長沼睦雄) 鈍感な世界に生きる敏感な人たち

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みずき@精神科医
精神科の専門医。医学のツイートがメイン。(指定医・日本精神神経学会専門医&指導医)、自らもASD&ADHD&双極Ⅱ型。フルネーム:水城稜(みずき りょう) 注:医療相談には乗れません。